特定技能がスタートして半年が経ちますが、依然としてベトナムからの送り出し要件が固まっておりません。最近、特定技能による就労者が少ないというニュースを目にしますが、最大の送り出し国であるベトナムからの送り出しがスタートしていないというのが、大きな要因でしょう。

日本では技能試験がスタートし、フィリピンやミャンマーでも具体的に試験日程が発表されるまでになりました。しかし、ここベトナムでは、7月に日本政府と覚書が交わされたのが最新の状態で、それ以降動きがありません。

以下、ベトナム側で決まっていないこと。またそれによって生じるリスクとこれからの展開についての予測を見ていきます。

送出し機関

 

どの送出し機関が送り出せるのか

具体的に何が決まっていないかというと、どの送出し機関が、送り出せるのかという点。
現在ベトナムの送り出し機関は、300強ありますが、そのすべてが送り出せるのか、介護実習生のように選抜された機関のみになるのか。
これは、とても大きな問題で、選抜制になると、許可をもらった機関の独占事業になります。多くの機関に門戸が開かれたら、送出し人数は、一気に増えます。その分、問題も多く発生するでしょう。
もし、許可制になった場合、すでに前倒しで、特定技能の面接を済ませているが、許可を得られない送出し機関が出てきます。この点は、日本の人材紹介会社さんが、先行して営業をかける際のリスクになります。

 

技能実習生が送出し機関に支払う手数料

現在、ベトナムでの技能実習生が送出し機関に支払う手数料は、3600ドルと法律で決められています。これに日本語教育費や寮費、VISA用書類作成費用などが加わり、5000ドル程度を負担することになります。
特定技能の場合、この金額がいくらになるのか。技能実習生と同金額に設定されるのかどうか。

上記2点は、制度上の問題となります。
これらが決定された後に生じるのが、事業者間の取り決め及び費用になります。
まだ、費用の相場が形成されていないため、どの程度に落ち着くのかが見えません。

 

送出し機関が日本の紹介会社から受け取る紹介料

特定技能人材を日本の紹介会社に紹介した場合の紹介料がいくらになるのか、その相場が現在見えません。
日本からの紹介料が必要ないから、求人をくださいという会社も出てくるでしょう。その場合は、人材が負担することになります。

 

監理費/支援費

技能実習制度では、毎月監理団体が企業から監理費を受け取ります。その中から一部が、送り出し機関に支払われます。これと同じように特定技能でも支援費が送出し機関い支払われるのか。これは、送出し機関がどの程度支援を行うかによって変わってくるでしょう。

 

面接・内定は、試験合格前か試験合格後か

ベトナムでの法律が発表されていない現在では、試験合格前での選考しかありません。ただ、法律が発表された後でも、この問題は、残ります。試験合格者がいない、少ない段階でも一人でも確保したいということで、先行して内定を出す企業も出てくるでしょう。しかし、半年以上試験対策して、その後に不合格となった場合、そこから代替人員を探すのは大変です。
将来的に合格者が増えてくると、試験合格者の面接が主流になっていくでしょう。

 

試験対策のための教育費用

特定技能は、技能実習生やエンジニアと異なり、規定の試験に合格していることが条件となります。試験は、日本語(N4)と技能試験。
これらの試験は、難関試験というほどではありませんが、誰でも合格できるほど簡単なものではありません。高校や短大の新卒生を一から教育するとなると、少なくとも半年以上は必要になるでしょう。その機関にかかる費用を誰が負担するのか。
現状では、受入企業が育成費用として、負担する場合と、人材自体が負担する場合があります。受入企業が負担する場合は、希望者を集めやすくなります。ただ、特定技能は、転職が可能な在留資格。教育費用を負担したのに、すぐに転職された、なんて事態が発生しないとも限りません。この点は、人材紹介会社さんが提案する際のリスクになります。

次は、日本側にはそれほど大きな影響はないですが、ベトナム側で生じる変化として、下記の変化が現れると考えられます。

 

教育は、送出し機関か別の教育会社か

特定技能は、試験合格が前提となるため、教育に大変時間がかかります。それに、試験に合格しなければ、教育期間がさらに伸びます。
これまで教育から送り出しまでを担ってきていた送出し機関にとっては、非常に大きな負担となります。教育期間は伸びるし、合格するかも分からないし。
それで、試験対策は別途、塾や予備校で行うという流れができるでしょう。そこに日本企業が進出してくることも考えられます。