登録支援機関は、1号特定技能外国人への支援を実施する役割を担っています。しかし支援の範囲が多岐に渡るため、支援内容を把握するのは少々大変です。今回当記事で、ベトナム人特定技能者に対する10の支援内容について詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

登録支援機関の重要な役割として「特定技能外国人に対する10の支援」があげられます。ただ実際に外国人労働者が働くのは受入企業であり、登録支援機関が実際どのように支援をおこなっていくのか、少々わかりづらい面があるのは否めません。

そこで今回は下記の3点についてわかりやすく解説をしていきます。ぜひ参考にしてください。

● 登録支援機関の役割
● 支援する際の注意点
● 1号特定技能外国人に対する10の支援内容

【支援計画作成・支援代行】登録支援機関の役割は?

さきほど登録支援機関は、「特定技能外国人労働者に対して10の支援をおこなう組織」であると説明しました。では具体的にどんな支援業務をおこなうのでしょうか。

登録支援機関がおこなう主な支援業務は下記の2点です。

● 支援計画の作成
● 特定技能外国人に対する10の支援の実行

ちなみに特定技能外国人といっても、対象になるのはあくまでも、「1号特定技能外国人」です。2号特定技能外国人は対象外ですので注意してください。

特定技能所属機関との関係

1号特定技能外国人と雇用契約を結び、実際に従業員として受け入れる企業を「特定技能所属機関」といいます。

特定技能外国人への支援は、本来「特定技能所属機関」がおこなわなくてはなりません。しかし特定技能所属機関に支援業務に精通した人材がいるとは限らないため、支援業務は外部に委託をすることが認められています。特定技能所属機関に代わり支援を代行するのが「登録支援機関」の主な役割です。

支援計画書の内容

特定技能所属機関から支援委託を受けたとはいっても、なんでも自由に支援できるわけではありません。10項目の支援内容が定められており、その内容に沿った支援計画の作成が求められます。

また支援にはそれぞれ「義務的支援」と「任意的支援」が定められていて、義務的支援に関してはすべて計画書に盛り込み実施しなくてはなりません。(詳細は法務省の運用要領別冊を参照)

任意的支援は文字通り、任意で支援をおこなえるものです。ただし支援計画書に記載してしまうと、任意であっても支援義務が発生しますので注意しましょう。

【1号特定技能外国人に対する支援内容】

番号 支援内容
1 入国前の事前ガイダンス
2 入出国時の送迎
3−1 住居確保に対する支援
3−2 生活に必要な契約の支援
4 日本での生活に対するオリエンテーション
5 日本語学習をする機会の提供
6 相談・苦情への対応
7 日本人との交流促進
8 転職支援
9 定期的面談、行政機関への通報

参考:http://www.moj.go.jp/content/001309875.pdf
参考:https://www.jitco.or.jp/ja/skill/

登録支援機関が特定技能外国人を支援する際の注意点

登録支援機関が特定技能外国人を支援する際に、いくつか注意すべきポイントがあります。

特定技能所属機関は登録支援機関に「支援の実施」を委託できますが、「支援計画の作成」はあくまでも特定技能所属機関がおこなわなくてはなりません。したがって支援計画作成に関しては、登録支援機関が支援計画作成のサポートをするという形で携わっていくことになるでしょう。

また、日本語の計画書以外に必ず相手が理解できる言語でも作成し、外国人労働者に交付する必要があります。

「協議会への加入」「支援担当者と支援責任者の専任義務」については、このあと個別に詳しく解説します。

協議会への加入

特定技能制度が円滑に運営されるよう、管轄省庁のもと、産業分野ごとに「協議会」が設置されています。特定技能所属機関は協議会への加入が義務付けられており、積極的な参加を求められます。

では支援を請け負っている登録支援機関も、協議会へ加入しなくてはいけないのでしょうか。

答えは、「業界によって違う」が正解です。特定の業界では加入が義務づけられていますが、まったく加入義務のない協議会もあります。以下にまとめておきますので、ご自分が関係する分野について確認してみてください。

【登録支援機関/協議会への加入義務一覧】

産業分野 協議会への加入義務 関連サイト
介護 なし なし
ビルクリーニング なし なし
素形材産業 なし なし
産業機械製造業 なし なし
電気・電子情報関連産業 なし なし
建設 なし なし
造船・舶用工業 あり https://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_fr5_000006.html
自動車整備 あり https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_SSW.html
航空 あり https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr19_000011.html
宿泊 あり https://www.mlit.go.jp/kankocho/page06_000162.html
農業 なし なし
漁業 なし なし
飲食料品製造業 あり https://www.contactus.maff.go.jp/j/form/shokusan/seizo/shienkikan_kanyu.html
外食業 あり https://www.contactus.maff.go.jp/j/form/shokusan/seizo/shienkikan_kanyu.html

 

支援担当者と支援責任者の専任義務

特定技能外国人への支援に深く関わってくるのが、「支援担当者」と「支援責任者」です。登録支援機関の登録を受けるには、「1名以上の支援担当者および支援責任者」を専任していることが求められます。

支援担当者は、登録支援機関の職員または役員の中から、支援を担当する業務に専任された人のこと。特定技能基準省令で定められた欠格条件に当てはまる場合と、特定技能外国人を監督する立場の人は支援担当者にはなれません。

支援責任者ですが、こちらは支援担当者を管理する責任者です。支援担当者同様、職員または役員から選ばれます。ただし過去5年間に受入企業の役員であった者や、受入機関の役員の配偶者など、受入企業との関係が深い者は、支援責任者の要件から外れます。

つまりどちらの職にも、「中立性」が求められるということです。

ちなみに支援担当者と支援責任者を一人が兼任することもできます。

参考:https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000484848.pdf
参考:https://www.contactus.maff.go.jp/j/form/shokusan/seizo/shienkikan_kanyu.html
参考:https://www.mlit.go.jp/kankocho/page06_000162.html
参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_SSW.html
参考:https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr19_000011.html
参考:https://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_fr5_000006.html

参考:http://www.moj.go.jp/content/001315330.pdf
参考:http://www.moj.go.jp/content/001315336.pdf

登録支援機関に委託が可能。1号特定技能外国人に対する10の支援とは

ここからは前述した「1号特定技能外国人に対する10の支援」を具体的にみていきましょう。義務的支援と任意的支援にわけて、主な内容をご紹介していきます。

1.事前ガイダンス

【義務的支援】
入国前に必要な情報(下記参照)を、対面・テレビ電話などの方法で、相手が理解できる言語を用いておこなわなくてはなりません。
● 業務内容、報酬、労働条件
● 入国手続きに関する必要事項
● 在留資格認定証明書交付日から3か月以内に日本に入国が必要なことなど

【任意的支援】
● 入国時の気候・服装、本国から持参したほうがいいもの、入国後当面必要になる金額や用途などについての情報提供
● 渡航代金や生活費の貸し付けなど

2.入出国時の送迎

【義務的支援】
● 入国の際に、空港や港から事業所などへの送迎
● 出国の際には、空港や港まで送迎し、保安所まで入室したことを確認

【任意的支援】
ほかの在留資格から1号に資格変更した場合、日本国内の現在の住まいから特定技能所属機関までの送迎。

3−1.住居確保に対する支援

【義務的支援】
日本国内の住居を確保していない場合、下記のいずれかの方法で支援します。
● 物件情報の提供、現地への同行。連帯保証人もしくは保証業者の確保
● 特定技能所属機関等が賃貸契約を結び、住居として提供
● 特定技能所属機関等が所有する社宅を住居として提供

【任意的支援】
現在の特定技能所属機関を退社した場合でも、新たな受入先が決まるまで住居の確保を支援。

3−2.生活に必要な契約の支援

【義務的支援】
● 銀行口座開設
● 携帯電話の契約
● 電気・ガス・水道などライフラインの契約
上記に関する書類や情報の提供をおこない、必要に応じて同行してサポートします。

【任意的支援】
契約内容の変更や解約の際も、同様に情報提供や同行サポートをおこないます。

4.日本での生活に対するオリエンテーション

【義務的支援】
日本での生活に必要な情報提供を最低8時間以上おこないます。テレビ電話や動画視聴というスタイルの支援でも問題ありませんが、その際質問されたことに回答できるようセッティングをしなくてはなりません。
● 金融機関の利用方法:振り込み方法、ATMの使い方
● 医療機関の利用方法:症状別受診方法
● 交通ルール:保険への加入義務、任意保険制度など

【任意的支援】
日本での生活に関する情報は生死に関わってくることもあり、任意的支援は特に設定されておらず、伝えるべき情報が数多く設定されています。特に重要な支援ですので、詳細は法務省の運用要領別冊を参照してください。

5.日本語学習機会の提供

【義務的支援】
下記のいずれかの方法で支援をすること。
● 近隣の日本語教育機関の情報提供、同行しての手続きサポート
● 独学のための教材やオンライン講座の情報提供、契約手続きサポート
● 特定技能所属機関等が日本語講師と契約して受講機会を提供

【任意的支援】
● 支援担当者による日本語指導
● 月謝や教材代金の補助・経済的支援

6.相談・苦情への対応

【義務的支援】
仕事・プライベートを問わず、1号特定技能外国人から相談や苦情を受けたときは、すぐに助言や指導をおこわなければなりません。また必要に応じて、労働基準監督署などの機関に同行し、手続きなどのサポートをします。

【任意的支援】
特定技能所属機関の事務所などに相談窓口を設けたり、相談専用電話番号やメールアドレスなどを準備する。

7.日本人との交流促進

【義務的支援】
公共団体などがおこなう日本人と交流可能なイベントの情報や主催団体の紹介をおこない、必要があれば現地に同行して交流をサポートします。

【任意的支援】
● 交流の場に参加しやすいよう、勤務時間や休日の調整を配慮する
● 1号特定技能外国人が地域で孤立しないように、特定技能所属機関が積極的に交流の場を設ける

8.転職支援

【義務的支援】
人員整理や倒産などのやむを得ない理由により転職を余儀なくされるケースでは、下記の支援をおこない、再就職を支援する必要があります。
● 次の受入先の情報を提供
● 職安や職業斡旋業者に同行をして、転職のサポートをおこなう
● 円滑な転職活動のために推薦状を作成するなど

【任意的支援】
受入先を探すのが最優先ですので、任意的支援はなく、基本的に法務省の運用要領別冊で決められた支援すべてをおこなわなくてはなりません。

9.定期的な面談、行政への通報

【義務的支援】
特定技能所属機関は、1号特定技能外国人本人とその監督者(上司もしくは会社の代表)それぞれと3カ月に1度の割合で直接面談をおこないます。もし面談中に労働基準法違反などが発覚した場合は、すみやかに関係機関に通報しなければなりません。

【任意的支援】
1号特定技能外国人本人が通報しやすいように、関係機関の連絡先を事前に通達しておく。

参考:https://www.jitco.or.jp/ja/skill/
参考:http://www.moj.go.jp/content/001309875.pdf

まとめ

今回は1号特定技能外国人に対する登録支援機関の役割について、詳しくご紹介してきました。

● 登録支援機関の役割
● 支援する際の注意点
● 1号特定技能外国人に対する10の支援内容

遠い外国から働きにくる外国人労働者にとって、直接支援をしてくれる登録支援機関は、まさに命綱ともいえるべき存在のはずです。

杓子定規な支援ではなく、1号特定技能外国人と特定技能所属機関の両方が満足できるような誠意あるサポートを心がけていただければと思います。