外国人労働者野中でも特に急増しているベトナム人雇用。今回の記事では技能実習生と正社員雇用の違いや雇用までの流れ、そして必要となる費用についてまとめました。紹介会社を選択する際ポイントとなる「現地エージェントの質」についても紹介しています。
外国人の採用と聞くと、「技能実習生」を思い浮かべる方も多いと思います。
確かに技能実習生は手軽に採用することができ、日本の重要な労働力の一つとして広く活躍しています。
しかし、最近では”社員”としてベトナム人を雇用する企業が増えているのはご存じでしょうか?
今回の記事では、ベトナム人の雇用が増えている理由や技能実習生との違い、雇用までの流れを解説していきますので是非最後までご覧ください。
ベトナム人雇用が増えている理由
ベトナム人の雇用が増えている背景にはいくつかの要因があります。
人手不足の解決
外国人労働者が増えている理由の一つは、日本の労働力不足です。
年々少子化が進む日本において、外国人労働者は現在重要な労働力となっています。
外国人の雇用は国を挙げて推し進められており、2018年には「特定技能」という新たな在留資格も追加されました。
これによって、従来の就労ビザでは認められなかった14の分野において、外国人の雇用が認められるようになったのです。
少子化が改善しない現状を鑑みると、今後も外国人雇用の待遇や制度は改定されていくと考えられます。
多様な働き手による新たな発想
次に、外国人雇用のメリットとされているのが「多様性」による新たな発想です。
世界を相手に戦う為には、グローバルな視点での発想は非常に重要です。
しかし、日本人だけの職場ではどうしても発想が国内向けに偏ってしまいます。
そのため、新たな視点での意見や発想を得るために外国人の雇用を試みる企業は年々増加しています。
日本人とは育ってきた文化や教育が異なるため、日本人では気が付かないような問題点にも気が付くことができます。
インバウンドによる外国人労働者需要の増加
また、外国人労働者が増えている要因の一つとなるのがインバウンドによる需要の増加
です。
日本に訪れる外国人観光客の数は年々増加しています。
増え続ける外国人観光客に日本のスタッフだけでは対応仕切れない状況となっていました。
その問題を解決する為、外国人労働者が多く雇用されています。
特に沖縄や北海道など外国人が多い訪れる地域においては、ホテルやレジャー施設で外国語が話せるスタッフが重宝されているようです。
参考:https://www5.cao.go.jp/keizai3/2019/09seisakukadai18-6.pdf(内閣府)
参考:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33985940Z00C18A8000000/(日経新聞)
直接雇用と実習生の違いとは
さて、多くのメリットのある外国人労働者雇用ですが、「技能実習生」としての雇用と「社員」としての雇用の違いについてご存じでしょうか。
実は、実習生ではなく「社員」として雇用することには多くのメリットがあります。
長期間の労働が可能
技能実習生の雇用には多くの制限があります。
その中の一つが労働期間の制限です。
滞在資格 | 滞在期間 | |
技能実習1号 | 1年 | 試験に合格すれば2号の資格を取得 |
技能実習2号 | 2年 | 試験に合格すれば2号の資格を取得 ※一時帰国あり |
技能実習3号 | 2年 | 帰国 |
実習生の滞在期間は1号~3号の期間を全て合計しても最大5年までとなっています。
資格を取得できなければ1~2年で国に帰ってしまうことも。
それに対して社員での雇用では、職種や条件によって異なりますが期間に制限が無い雇用も可能です。
せっかく仕事を覚えても5年でいなくなってしまう実習生よりも、長く働いてもらう事を見込める社員雇用は大きなメリットがあります。
実習生のリーダー役に適任
既に技能実習生を雇用している場合でも、管理役となるリーダーは日本人の社員が行っている場合が多いかと思います。
技能実習生はあくまで「実習」という方で来ていますので、リーダーのように責任を持った仕事は任せることが出来ません。
社員として外国人を雇用することで、技能実習生をまとめるリーダーとして任せることが出来ます。
実習生と社員の間で言語の壁がありませんので、スムーズなコミュニケーションが取れるようになります。
即戦力になる
技能実習生は仕事の中で技術を身に着ける事が目的の為、即戦力に期待することはできません。
しかし、「特定技能」の在留資格を取得している外国人労働者であれば、「一定水準以上の技術」を持っていることが証明されています。
また、日本語力についても試験を突破している為、即戦力として雇用することが可能です。
紹介会社の選び方
外国人労働者を雇用する際には、紹介会社から人材を紹介して貰うことになります。
質の悪い紹介会社によって予定な手間を取られない為にも、チェックするべきポイントをご紹介いたします。
その1:自社業界への紹介実績がある
外国人労働者といっても職種は様々です。
IT系の人材に強い会社から技工系の人材に強い会社など、紹介会社によって実績は異なります。
求める職種・業界への紹介実績があるかを最初に確認するようにしましょう。
その2:紹介手数料が適切である
紹介手数料の金額が適切かどうかも確認が必要です。
ベトナム人エンジニアの場合、年収の20~30%とというのが一般的です。専門技術のレベルや経験、日本語能力に合わせてこの設定は前後するので、紹介会社と相談しながら決定するのがいいでしょう。支払いのタイミングは、内定時や人材が日本へ渡航した時、入社時などありますが、成果報酬というのが基本です。候補人材の探索や面接などで費用がかかる場合は、どうしてその費用が必要なのか確認するようにしてください。外国人材の場合、VISAが下りないなど、日本人採用より入社までのハードルが多くあります。お金を支払ったのに、入社できないということが起こらないように、支払いタイミング及び返金規定を確実にチェックしなければなりません。費用の確認は最初に行いましょう。
その3:入社までのフォローがしっかりしている
初めて外国人材を採用する時は、これまでの日本人採用と異なり、戸惑うことも多いはず。法的な手続きや、海外人材の出身国と日本との文化や習慣の違い、仕事に対する考え方ややり方など、どれも経験したことのない課題に直面します。そうしたギャップやリスクをしっかりと説明し、それらを想定したフォローやアドバイスができる紹介会社でなければなりません。商談の際に、「日本人材との相違点」「外国人材採用のリスク」といった質問を投げかけ、納得のいく説明ができる紹介会社を選んでください。
その4:営業拠点が自社の近くにある
上記その3にも通じることですが、外国人材採用には、想定外が付き物。そんな時に営業拠点が自社に近くにあり、気軽に相談できる紹介会社の方が安心でしょう。正社員雇用の場合、紹介会社との関係は人材の入社後まで。それだけに、人材の選考から面接、採用、受け入れ準備など、入社までの前段階でどれだけリスクを排した採用活動ができるかが鍵を握ります。入社まで密にコミュニケーションがとれる会社かどうか見極めてください。
入社後も社員のサポートをお願いしたい場合は、「技能実習生」や「特定技能者」、「派遣社員」の採用がおすすめ。それぞれ監理組合、登録支援機関、派遣会社の定期的なサポートを受けられます。
その5:営業担当者の人柄が誠実である
これを言ってしまうと身もふたもないですが、良い紹介会社を選ぶポイントは、結局のところ営業担当者との相性だったりします。ここでは選び方のノウハウをお伝えしているのですが、この“相性”についてはノウハウがありません。だからこそ、いくつかの紹介会社と話をしてみて決めてください。〇〇さんの紹介だから、と安易に決めてしまうと、失敗する可能性が高くなります。
その6:優良な現地エージェントと提携している
最も重要な要素が、「優良な現地エージェント」と提携している紹介会社を選ぶことです。紹介会社は、現地のエージェントから紹介された人材を日本国内の企業に紹介しているのが一般的。そのため、優良な現地エージェントと提携している紹介会社は、より質の高い人材が紹介できるのです。では、優良な現地エージェントとは、どんなエージェントなのでしょうか。
その6-1:より多くの良質な人材を集める事が可能
質の悪いエージェントの場合、どんな人材でも応募があればとりあえず提案してくるケースがあります。その場合、採用フローの中で選別する必要があり余計にコストがかかってしまいます。
良質な現地エージェントであれば、事前に人材をフィルタリングして良質な人材だけを紹介してもらう事が可能です。
その6-2:充実した教育内容
現地エージェントの仕事の一つに教育がありますが、教育内容はエージェントによって異なります。質の良い現地エージェントは、日本人との会話練習や日本でのビジネス習慣など、より実践的な教育を行ってくれるため、採用後スムーズに仕事に入ることができます。
その6-3:スムーズなコミュニケーション
外国人雇用の中で最も難しいのがコミュニケーションです。言ったことが伝わらない、報連相が出来ない等、コミュニケーション面でストレスを感じるエージェントも少なくありません。受入企業が現地エージェントと直接コンタクトを取ることはないので、このコミュニケーションの問題が発生することはありませんが、人材や選考に関する質問に対して紹介会社からのレスポンスが遅い場合は、スムーズなコミュニケーションが取れていないことが考えられます。
ベトナム人を採用する手順
さて、それでは次に紹介会社を使って現地の人材を雇用する場合の、手順や流れをご説明していきます。
その1:紹介会社に欲しい人材の情報を伝える
まず、人材紹介会社に欲しい人材の情報を伝えます。
採用後の認識ズレを防ぐ為にも、ここでしっかりとご自身が求める技能や条件を明確にしておきましょう。
その2:就労ビザが取得可能か確認
海外から人材を呼び寄せる場合、以下の2点を満たしているか確認してください。
・想定する職務内容が在留資格(就労ビザ)に合致した内容か
・学歴や職歴が要件を満たしているか
就労ビザ申請においては、この2点の内のいずれかの条件を満たしていることを文書で証明しなければいけません。
また、職種によっては実務の経験や学歴等が求められる場合もあります。
この情報に不備や虚偽があると、申請が通らなくなりますので必ず事前に確認するよう心がけましょう。
その3:雇用契約書の取り替わし
雇用条件に問題ないことが確認出来たら労働契約を締結します。
条件や仕事内容の提示を行う最終フェーズですので、内容や認識に齟齬が無いかしっかり確認しましょう。
作成した雇用契約書は雇用する側・雇われる側の双方で大切に保管します。
その4:就労ビザ申請
雇用契約が確定したら、就労ビザの申請を行います。
最初は不安もあると思いますので、行政書士に代行を依頼することも可能です。
「パスポート」や「在留カード」などの必要書類な書類が揃ったら入管局に提出しましょう。
必要な書類の一覧については出入国管理庁のHPをご確認下さい。
その5:日本に呼ぶための準備
各種申請が終わったら、日本に呼ぶための準備を行います。
渡航のタイミングについて本人と相談の上で飛行機の手配を行います。
また、海外から呼び寄せる場合、最低限日本で住居を探す間仮住まいとして過ごすウィークリーマンションなどを用意する必要があります。
外国人労働者が一番最初に苦労するのがこの住居探しです。
最近では在留外国人に特化した賃貸物件を紹介する不動産会社もありますので、なるべく本人が困らないようにサポートしてあげましょう。
その6:入社後のサポート
本人の希望や語学力にもよりますが、入社後に日本語によるコミュニケーションに問題があると感じた場合は、業務の一部として日本語学校を手配するケースもあります。
外国人雇用で一番問題が発生しやすいのが「コミュニケーションエラー」です。
やりとりに問題があると感じた場合は、日本語学校の手配も視野に入れておきましょう。
外国人雇用にかかる費用
海外から人材を呼び寄せる場合、国内での採用とは異なる費用があります。
一般的にかかる費用をまとめました。
紹介会社への紹介料
紹介会社に支払う紹介料は、一般的には雇用した人材の年収の20%~30%前後と言われています。年収300万の場合60万円~90万円前後となります。
渡航費用
国によって異なりますが、ベトナムの場合5万円~8万円程度が相場です。
就労ビザの取得費用
ビザの申請を行政書士に依頼する場合は10~15万円程度必要となります。
現地での面接費用
現地で面接を行う場合、渡航費+現地滞在費で10万~15万円のコストがかかります。
スカイプ面接で済ませる場合は不要です。
最後に、ベトナム人を雇用する際に注意するべきポイントをまとめました。
雇用契約の内容理解に齟齬が無いか確認
雇用時の契約は、日本人同士であれば大きく認識がずれることはありません。
しかし、国や文化が異なる相手の場合「言わなくても分かるだろう」は通用しません。
採用後に「こんな仕事だとは聞いていなかった」「〇〇にかかる費用は会社持ちだと思っていた」等の認識ずれを起こさない為にも、必ず書面に起こし一つずつ確認するように心がけましょう。
日本の文化の理解
採用する際には、日本語能力だけでなく文化をどの程度理解しているかも確認しましょう。
国によっては勤務時間に対する考え方や、職場でのコミュニケーションに対する意識が異なる場合もあります。
認識がずれたまま業務を開始すると、現場との余計な軋轢を生んでしまうことも。
不法就労ではないかの確認
外国人を雇用する際、一番気を付けるべきポイントは在留資格です。
不法就労であることが発覚すると、どれだけコストをかけて雇用・教育していても強制帰国となってしまいます。
また、就労期間が過ぎている事に本人が気付いていないケースも存在します。
一度雇用した後も、期間が過ぎていないか意識するように心がけましょう。
最後に
さて、今回は現地の人材を雇用する場合の手順や流れについてをご紹介しました。
国内の採用に比べて気を付けるポイントや申請するべき書類が多く面倒に感じてしまうかもしれませんが、そのハードルを越えることが出来れば優秀な人材に出会える機会は大幅に広がります。
人手不足を嘆く前に、是非一度選択肢の一つとして考えてみてはどうでしょうか。