ベトナム人エンジニアを受け入れるにあたり、具体的にどのようにビザを申請すればいいのか。行政書士さんにお願いするにしろ、自社でするにしろ、基礎知識は押さえておいた方がいいでしょう。
ここでは、武蔵行政書士事務所の佐藤さんに依頼し、技術ビザ申請の方法についてご教示いただきました。実際の手続きの参考にしてください。
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目次
ベトナム人エンジニアを受け入れる際のビザ申請方法
ビザとは?
ビザという言葉も、多くの方にはあまり馴染みがなく、カードブランドのVisaの方に馴染みがあるかもしれません。まずは、ビザがどのようなものか、申請の方法、対象職種などについて解説します。
ビザとパスポートとの違い
パスポートは、各国の政府が発行を行うもので、その国民が国外に出てもよいことを証明するものです。一方ビザとは、外国人に自国への入国を許可するもので、他国へ入国するための通行手形とも言えます。ビザの発行にはパスポートが必要で、パスポートにスタンプなどを押されるという形式で発行されます。
つまり、外国人が日本へ入国するには、現地の日本国領事館でビザを受けたパスポートが必要になります。そしてこのパスポートを空港で入国審査官に提示し、認証を受けることになります。
ビザ申請の方法
ビザを申請する方法には大きく分けて2つの申請方法があります。1つは、外国人が直接、現地の日本国領事館に申請を行う方法です。もう1つは、事前に法務大臣から「在留資格認定証明書」の交付を受ける方法です。「在留資格認定証明書」を取得するまでの期間としては1~2ヶ月程度の期間がかかることが多いです。
外国人が直接、現地の日本国領事館に申請を行う方法で、就労ビザなどの、長期間日本に滞在することになるビザを申請すると、現地領事館から、日本の外務省や入国管理局へ事前協議されることになり、ビザの発行まで2~3ヶ月程度時間がかかることになります。
発行まで1ヶ月ほど差が出てきますので、就労ビザの場合は、事前に法務大臣から「在留資格認定証明書」の交付を受ける方法で、申請が行われることが多くなっています。これは、受け入れ先の企業や、依頼を受けた行政書士などが、日本国内で法務大臣に在留資格認定証明書の交付を申請し、交付をされたら在留資格認定証明書を添付して、現地の領事館にビザの申請をすれば短期間でビザが発給されることになります。
なお、実際の申請は、受け入れ先の企業の所在地を管轄する地方入国管理官署にすることになります。
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ベトナム人エンジニアを受け入れる際の在留資格は?
入管法では、外国人の入国するケースをいくつかのパターンに分けて、審査基準を設定しています。それが「在留資格」と呼ばれるもので、分かりやすく言うと「外国人がある活動をすることを約束することで、日本に在留することができる資格」ということになります。
ここでは、代表的な在留資格の例として、人文知識、国際業務、技術について紹介します。
人文知識・国際業務
「人文知識・国際業務」の在留資格とは、日本企業との契約で法律、経済、社会などの人文科学の知識を必要とする業務、または、外国の文化に基づいた思考などを必要とする業務を行う場合に認められます。
外国の文化に基づいた思考などというのは、外国人であるというだけではなく、日本国内の文化のなかでは育てられないような思考、感受性、フィリングに基づく、一定水準以上の専門的能力を持っていることが必要とされています。具体的には、通訳者、語学教師、海外取引業務などを行う外国人が「人文知識・国際業務」の在留資格で在留しています。
技術
「技術」の在留資格とは、日本企業との契約で自然科学の分野の技術・知識を必要とする業務を行う場合に認められ、理学、工学、医学、薬学などが含まれます。具体的に「技術」で在留する外国人には、エンジニア、プログラマー、コンピューター技師などが多くなっています。
ベトナム人エンジニアを受け入れる場合には、この「技術」の在留資格で取得を行えばよいでしょう。
「技術」でビザを取得するための基準
在留が認められるための基準は、在留資格ごとに定められていますので、今回は「技術」でビザを取得するための基準について紹介します。
申請する外国人が、下で紹介する基準の両方に該当していることが必要になります。
- これから日本の会社で従事しようとしている業務について、業務に必要な技術や知識にかかわる科目を専攻して大学を卒業、または同等以上の教育を受けていること。あるいは、10年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程や、専修学校の専門課程にて、業務に必要な知識にかかわる科目を専攻した期間を含む)により業務に必要な技術・知識を修得していること。
- 日本人がその業務に従事する場合に受ける報酬と同等以上の報酬を受けること。
なお、専修学校の専門課程を修了しており、技術系の専門士の資格を持っている外国人であれば、その活動が「技術」の在留資格に該当しており、就職先で行う業務と、外国人本人の習得内容に関連性があれば、許可の可能性は十分ありますので、専門家に相談してみるのがよいでしょう。
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「技術」でビザを取得するための注意点・必要書類
申請の注意点
「技術」の在留資格で申請を行う場合には、大学や専門学校などで学習してきた専攻科目と、日本の会社に就職して行う業務とが同じであることが必要であり、コンピューター技術で就職する会社で行う業務が、反復継続してコンピューター業務に関するものではなければならないということがポイントになります。
例えば、ホテルの予約システムの構築でプログラミングを使用するからといっても、予約システムを構築した後には多くのプログラマーは不要で、以後はコンピューターを扱える一般事務と同様の業務をするような場合には反復継続性があるとは認められませんので注意が必要です。
外国人本人が準備する必要書類
- パスポートの写し
- 写真(4cm×3cm)
- 履歴書
- 学歴を証明するもの(卒業証明書、在職証明書など)
- 職歴を証明するもの(在籍証明書、10年以上関連する業務に従事した期間を証するもの)
企業側が準備する必要書類
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 採用理由書
- 招聘する会社の概要を明らかにする資料(商業登記簿謄本、損益計算書、会社案内など)
- 雇用契約書または採用通知書の写し(職務内容、期間、給料などを記載したもの)
- 返信用封筒
採用理由書とは?
採用理由書は、外国人を採用する場合に、入管に提出することになる必要書類ですが、特に決められた形式などはありません。招聘する会社の概要を明らかにする資料(商業登記簿謄本、損益計算書、会社案内などや、職歴・学歴を証明する書類などの証拠書類のみでは説明できない点を補足するための資料になります。
例として、採用理由書に書くべき内容を紹介すると下記のようになります。
- 申請人採用の経緯
- 会社の概要
- 申請人の経歴
- 申請人を採用する必要性
- 地位・職務・報酬などの待遇
ケースによって項目を追加したり、省略したりする場合もありますが、概ねこのような内容で作成することになります。
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武蔵行政書士事務所
代表 佐藤 一清
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