就労ビザの取得が可能な現地大卒・短大卒のベトナム人エンジニアの採用には、下記の2つの選択肢があります。
〇ベトナム在住ベトナム人
〇日本在住ベトナム人
それぞれメリット、デメリットがあるので、ちがいを見ていきましょう。
目次
ベトナム在住ベトナム人の長所、短所
いわば“新卒採用”。日本語力は低いが、会社に定着しやすい
ベトナム在住のベトナム人は、主にベトナムの大学・短大卒業予定者やベトナムの企業で勤めている人材です。彼らを採用する上でのメリットは、最初に就職する日本の会社にロイヤリティを感じて長く働いてくれる点。専門的知識や技術を身に付けているとはいえ、日本語についてはまだまだ初級レベル。なんとか採用してくれた企業の仕事に食らいついて一人前に働けるように頑張ります。
企業側のサポートがあれば、当然居心地の良さも感じ、長く働こうという気持ちになりやすいと言えるでしょう。いわば、彼らは、“新卒”に近い存在なのです。
一方、短所は日本語。ベトナムでは、いくら勉強を頑張っても日本人と会話をする機会がほとんどないため、会話力を高めることができません。どうしても、現場の仕事を理解し、コミュニケーションに慣れてもらうまでに時間がかかってしまいます。
もう一つの短所は、採用から就労までに時間がかかる点。海外から人材を採用する時には、日本で在留資格を申請し、ベトナムでVISAを取得しなければなりません。その期間は、およそ3~4ヵ月。今すぐ働いてほしい、と思ってもかないません。こうしたハードルを越えてもなお、長期に会社に定着してもらい、育成し、戦力にしていきたいという企業に適していると言えるでしょう。
長所 | 転職しにくい |
短所 | ・勤務開始までに時間がかかる(3~4ヵ月) ・日本語でのコミュニケーションがスムーズにいかない |
どんな企業に適しているか | ・会社の戦力として育成したい企業 ・正社員向き |
日本在住ベトナム人の長所、短所
日本語力はあるが、日本慣れしており、転職しやすい
日本在住のベトナム人と言うのは、主に日本に来ている留学生と日本に働きに来ているエンジニアが対象になります。彼らの最大の特長は、日本語ができる点。一定期間日本で暮らし、仕事をして日本人と接しているので、会話力が高いです。
また、すでに日本におり、海外から呼び寄せる必要がないので、在留資格を申請したり、ベトナムでVISAを取ったりする必要がありません。面接後すぐに働いてもらうことも可能。そのため、日本在住人材は、即戦力人材を求める企業に向いています。
短所としては、転職しやすい点。長所でもある「日本語ができる」、「日本の暮らしに慣れている」ことが逆に短所となり、自分で人材紹介会社や派遣会社に連絡を取り、転職活動ができるので、転職リスクが高くなります。彼らが面接を希望する時点で、日本の他社からの転職であることからも、理解いただけるかと思います(日本の大学・日本語学校の新卒者を除く)。
長所 | ・日本語ができる ・すぐに採用できる |
短所 | ・転職リスクが高い |
どんな企業に適しているか | ・日本語が必要で即戦力を求める企業 ・派遣社員向き |
日本在住人材採用で気を付けるべきポイント
日本語も話せず、転職を繰り返すダメ人材
国内在住人材の中には、転職を繰り返す人が数多くいます。そういう人の多くが、日本で最初に就職した仕事が合わずに辞めてしまった人。彼らは、日本人と違って在留カードの更新期限があるために、じっくり仕事を探すということができません。日本の紹介会社を頼っても、相手にしてもらえないため、在日ベトナム人があっせんするグレー、もしくはブラックな派遣会社に入り、単純作業や肉体労働の仕事に就くことになります。
こういう仕事に就いてしまうと、再び浮上することは難しくなります。結果、日本に何年いても、日本語が上達せず、そのくせ給与や職場環境など、自分の希望ばかり優先する人材になってしまう。内容がペラペラの履歴書を送ってきて、仕事を探してくれませんか、とやってくる。これまでの職務経歴や自分の長所短所を深掘りして考えることもないので、面接で確認しても答えられません。
もっと詳しい情報を入れて作り直してくださいと言うと、自分で作れないという始末。こちらで履歴書作成のサポートをして仕上げても、面接でボロが出ます。せっかく面接の機会をつくってくれた企業担当者の時間をムダにしてしまうこともありました。派遣社員としてスポットで受け入れるならまだしも、正社員として採用してしまわないように注意しなければなりません。そのためには、下記の2点に注意して見極めれば大丈夫。
- 転職回数(転職の業務に関連性がない場合)
- 日本語レベル(在日年数の割に伸びていない)
では、どうしてこうした人材が生まれるのか。それは、ベトナムから日本の会社に就職する際に、条件が悪くても、日本に行けばなんとかなるだろうと甘く考え、決めてしまったから。もちろん、そうした仕事を紹介した会社にも責任があります。人材のためにも、企業のためにも、マッチングは慎重に行わなければなりません。
まとめ
自社に人事構想に合わせて戦略的に採用することが大事
以上、見ていただいたように、「日本語ができるから、国内外国人がいい」というわけではありません。自社の状況に合わせて、どちらの人材がいいのか、採用計画を戦略的に立てることで、より効果的なベトナム人採用が可能になります。