外国人技能実習制度の運用を行うにあたっては、単独の企業で自ら全ての外国人技能実習生の「監理」を行おうとする「単独型」と、日本国内法を順守しながら、外国人技能実習生の招聘から監理までを組合組織で行う場合、つまり監理組合(団体)で実施する場合の2通りの方法があります。単独企業で行う場合は主に、一部上場企業のような大企業で行われています。

この場合、全ての外国人実習制の「監理業務」を自社で行う必要があり、専門部署や、専門の子会社を活用すると言った方法がとられている場合が多いようです。一方、大資本ではできますが、中小企業ではその業務の負担は非常に大きいものになります。

そこで、今回は中小企業でも簡便にこの技能実習制度が活用できる団体型と呼ばれる方法の中心に立つ「監理組合(団体)」についてその概要をお示しします。

監理組合の許可基準

当然ですが、外国人技能実習制度の監理を行う中心的組織ですので厳格な許可を国より得ている組織が、監理組合として運営されています。そこで国からの許可基準を見ることで監理組合がどのような業務を行っているのかを理解することができますので、監理組合の許可基準についてご紹介します。

1.非営利団体であること

次に示す団体、法人がこれに当ります。

  • 商工会議所・商工会
  • 中小企業団体
  • 職業訓練法人
  • 農業協同組合
  • 漁業協同組合
  • 公益社団法人
  • 公益財団法人等

2.業務の実施基準を満たしていること(以下(1)~(4)を実施基準の代表例となります。)

(1)実習実施者に対する定期監査を実施すること。頻度は3か月に1回以上、監査は以下の方法によることが必要(ア~オ)

ア) 技能実習の実施状況の実地確認を行うこと
イ) 技能実習責任者及び技能実習指導員から報告を受けること
ウ) 在籍技能実習生数の4分の1以上と面談すること
エ) 実習実施者の事業所における設備の確認及び帳簿書類等の閲覧を実施すること
オ) 技能実習生の宿泊施設等の生活環境の確認を実施すること

以上ア)~オ)の項目については書式で記録し保管しておくことが求められています。必要であれば写真の添付などその実態が分かるようにしておかなければなりません。

(2)第1号の技能実習生に対する入国後講習の実施

(3)技能実習計画の作成指導 ・指導に当たり、技能実習を実施する事業所及び技能実習生の宿泊施設を確認すること
→適切かつ効果的に実習生に技能等を修得させる観点からの指導は、技能等に一定の経験等を有する者が担当することになっています。

(4)技能実習生からの相談に対応しなければなりません。
→技能実習生からの相談に適切に応じ、助言・指導その他の必要な措置を実施する。

3.監理事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有すること
4.個人情報の適正な管理のため必要な措置を講じていること
5.外部役員又は外部監査の措置を実施していること
6.基準を満たす外国の送出機関と、技能実習生の取次に係る契約を締結していること
7.(1)〜(6)のほか、監理事業を適正に遂行する能力を保持していること

また、以下の項目に抵触する場合には監理組合として認められないことになっています。

  1. 監理費は、適正な種類及び額の監理費をあらかじめ用途及び金額を明示したうえで徴収すること(法第28条)
  2. 自己の名義をもって、他人に監理事業を行わせてはならないこと(法第38条)
  3. 適切な監理責任者が事業所ごとに選任されていること(法第40条)

さらに、監理責任者は事業所に所属し、監理責任者の業務を適正に遂行する能力を有する常勤の者でなければならないと規定されています。また、2020年には、過去3年以内に監理責任者に対する養成講習を修了した者でなければならなくなります。それまでは経過措置が講じられています。

参考:公益財団法人 国際研修協力機構(https://www.jitco.or.jp/ja/regulation/index.html)