大前提、技能実習生は安くない

あれも、これも。付随する金額が多すぎる!?

外国人を低コストで受け入れられという認識が浸透している外国人技能実習制度ですが、実は日本人を採用するのとさほど変わらない費用が必要となります。あくまで受け入れるのは、“外国人”。日本の職場や生活に馴染んでもらうためのサポート費用が欠かせません。今回は外国人技能実習生を受け入れにかかる費用について見ていきます。

実習生を受け入れるための費用は大別して11のカテゴリに分かれますので、各々についてご紹介します。

※以下は、ひとつのモデルケースとしてお考え下さい。各費用は、監理団体により異なります。

(1)監理団体への加入費用

外国技能人実習生を監理する団体、協同組合や財団などに加入する際に支払う費用。

  1. 監理団体加入金   1社あたり 100,000円
  2. 監理団体への年会費 1社あたり  80,000円

 

(2)対象国への渡航費用

受け入れ側の組織・企業の担当者などが実習生の母国である海外へ人選の為に渡航する際の費用。

  1. 対象国への航空・交通費
  2. 宿泊費
  3. 飲食費用

なお、この費用は受入側組織・会社の社内規定に沿った出費になり、低減可能です。

 

(3)現地人材選抜後で事前に必須になる費用

各種事務費用。

  1. 在留資格認定申請書作成費用  ¥22,000/実習生
  2. JITCO入国管理局取次費  ¥5,657/1社
  3. 在留資格認定証明書代引費用  ¥2,000/1社
  4. 各国書類送付費  1,000/1社(国、送り出し機関により異なる)
  5. 送出し機関事前教育費  ¥33,000/1社(国、送り出し機関により異なる)
  6. JITCO比例年会費  ¥50,000/1社(受入側組織・企業の資本金により優遇)

なお、④、⑤はベトナムを想定した平均です。

 

(4)技能実習生の入国直前に係る費用(日本への入国が決定された後)

日本入国が決定した技能実習生が日本入国に必要となる費用。

  1. 外国人労働者保険  ¥26,000/実習生(実習生の年齢により変動)
  2. 入国渡航費用  ¥100,000/実習生・同行者(航空運賃により変動)
  3. 国内交通費  ¥10,000/人(受入先と空港の立地により変動)
  4. 入国後講習費用  ¥81,000/実習生
  5. 教材費  ¥5,000/実習生
  6. 国内交通費用  ¥10,000/実習生(実習生の転属・着任の為の費用)
  7. 実習生講習手当て  ¥60,000/実習生
  8. 健康診断費用  ¥10,000/実習生(実習生の雇い入れ時健康診断費用)

ここで示しました①~⑧は概算ですので多少の高低はあります。

 

(5)技能実習中(入国から12ヵ月まで)

  1. 監理団体への管理費用  ¥50,000円/実習生
  2. 送り出し機関への管理費用  ¥10,000円/実習生

 

(6)技能実習中(2号実習生に移行する時に係る費用)

  1. 技能検定試験料  ¥21,000(職種や作業により変動)
  2. 在留資格変更・更新申請書類作成費  ¥21,600/実習生・2回分
  3. 在留資格変更・更新収入印紙代  ¥11,314/実習生・2回分
  4. 入国管理局申請取次ぎ費  ¥8,000/1社
  5. JITCO比例年会費  ¥50,000/1社

 

(7)実習3Aの期間(2年目~3年目)にかかる年間費用)

  1. 監理団体の管理費  ¥50,000/実習生
  2. 送出し機関管理費  ¥10,000/実習生

 

(8)実習3Bの期間(2年目~3年目)にかかる年間費用)

  1. 監理団体の管理費  ¥50,000/実習生
  2. 送出し機関管理費  ¥10,000/実習生

 

(9)実習生の宿泊施設にかかる費用

  1. 家賃
  2. 光熱費
  3. 火災保険

 

(10)実習生の給与

これは、受け入れ側組織や企業の社内規定によって支給されるものです。概ね多くの組織・企業は実習する都道府県における最低賃金を当てているようですが、人材獲得が国際的に盛んな職種・作業ではやや高めに設定し始めているところもあります。

 

(11)実習生の労働環境整備費用

多くの外国人実習生を受け入れる場合には、各自治体や国から助成金制度などがあり、活用すれば補助を受けることも可能になります。

 

それでもなお実習生か。今一度検討すべき

安価な労働力を期待するなら、やめた方がいい

以上、費用について概説いたしましたが、幾分の金額差異が発生する可能性はあるものの、費用科目は概ねこの通り。技能実習生を取り巻く環境が社会問題化している昨今、安易な受け入れは自社へのダメージとなる恐れもあります。じっくりシミュレーションをしたうえで、受入れをご検討ください。

※本記事内の情報は、掲載時点での情報となります。あらかじめ、ご了承ください。