日本の介護業界では、2025年問題が騒がれています。2025年と言えば「大阪・関西万国博覧会」の開催年です。2015年(平成27年)に厚生労働省が調査・発表した「介護業界における人材の需給関係について」が発端となった問題です。
当時から数えて10年後の2025年に介護人材として必要とされる数が、253万人であるのに対して、介護人材の日本人就労者数が215万人にしかならないというショッキングな内容でした。需給バランスが明らかに崩壊し、乖離が38万人にも及ぶ現実が突き付けられたわけです。
介護人材が減少している実態
まず介護職員の離職率の高さが問題になっています。2015年10月から2016年9月の1年間に全国の介護職員の17%近くが退職したと厚生労働省から発表されました。この離職率の高さは、全国平均の離職率が社員で7%、アルバイト。パートタイマーで15%ということからその差から見ても明らかです。
そのせいもあり、介護職員における有効求人倍率、つまり介護施設が介護職員を求めている倍率が約2.6倍にもなっていることからも求人難であることが分かります。
介護人材が不足している原因は?
こうした介護人材の不足の最大の原因は、過酷な業務であるのにも関わらず、それに見合った給与が得られないと感じる人が多いところにあります。そのため、安定して働ける正社員が慢性的に不足。
結果、パート・アルバイトの比率が高いまま、人材をやりくりしなければならず、そこで働く人が疲弊していくという悪循環に陥っていくのです。
介護人材不足の克服策
介護人材が明らかに近い将来足りなくなるということから、厚生労働省も3つの人材確保策を講じており、介護人材確保策もこの中に含まれています。
(厚生労働省HP『福祉人材確保対策』)
介護人材に関連するものとしての概略は以下の3項目からなっています。
- 介護福祉士の着実な要請
- 介護福祉士の着実な要請介護福祉士の養成力質的向上
- 研修の充実
しかし、こうした対策は講じてきたものの大幅な人員の確保に至っていないことが大きな問題とされてきています。
介護人材の補充に関する奥の手
今回2019年4月からの「特定技能」で、日本での就労枠を設けられた14業種の中に介護が含まれています。高度な日本語能力を有する必要も無く、まずはカタコトの日常日本語で来日できるので、介護業界には福音になるかもしれません。
そのため、10年後には介護市場では外国人の方々が多く就労している可能性が高くなっています。