一般的に「介護留学生」と呼称されることの多い人材は、日本の介護専門学校・大学を卒業し、国家資格である「介護福祉士」に合格、もうしくはそれに相当する知識を持つとみなされる者を指します。日本人介護士と同等の知識を有しており、日本語レベルにおいても、業務を滞りなく進められるビジネスレベル。日本語も介護知識も初級レベルで渡航してくる外国人技能実習生が現場の補助的な仕事を担うのに対して、「介護留学生」は日本人介護士と同じ仕事をすることが可能です。

ただ、それだけに、人数が極端に不足し、「介護福祉士」を取得した外国人を採用することは非常に困難。そのため、留学生に奨学金を出し、囲い込もうという取り組みが活発化しています。

外国人留学生が介護福祉士を目指す状況

2018年の4月1日入学の外国人留学生、中でも介護福祉士を目指す留学生に関する状況をご紹介します。まず全体像としては、介護福祉士の資格を取得できる専門学校や大学(4年生、短期大学を含む)は、日本には365校存在します。その中で外国人留学生総数は1,142名で2017年4月入学生に比べて2倍になっています。

当然ですが、それら学校には日本人学生もいて総数では6,856名となり、この調査では6名の内1名は外国人留学生と言うことになります。外国人留学生の出身国別の内訳を人員数別に見ますと、以下のようになります。なお、これは2018年4月入学者の内訳になります。

  1. ベトナム 542名
  2. 中国 167名
  3. ネパール 95名
  4. インドネシア 70名
  5. フィリピン 68名

(出典:日経新聞『介護留学生倍増、1000人超え 養成校入学の6人に1人』)

となっています。特にベトナムからの留学生が急増しており、外国から介護福祉士を目指して留学して来る外国人の約半数がベトナム人ということになります。ここで、誤りやすいことですが、一般的な介護ヘルパーとは全く異なり、介護福祉士は介護現場での中心的存在になり、リーダーシップを発揮しながら介護現場を率いていく存在として重要な資格になります。

一方、気になるのはこうした分野に入学する日本人学生ですが、2013年ころには1万3千人強の日本人が入学していましたが、現在では上にも書きました7千名弱と言うことで半減しています。

「介護福祉士」の資格取得の要件

留学生を含めて、わが国で設定されている介護福祉士の資格を得るためには、国が指定する専門学校や大学などの2年制以上の養成校を卒業することが条件になっています。その他には、3年以上の実務経験と研修終了後に国家試験を受験し合格すれば資格取得できるというものになっています。

しかし、2022年の養成校卒業者から、資格取得には、国家試験合格が要件となりますので、日本語教育も十分行うことが必要になります。わが国における介護福祉士の資格取得者は、2016年度には149万人いますが。実現場で介護業務に携わっている人はその約6割程度の約83万人という結果が出ています。この結果から若手の外国人留学生に期待がかかるところです。

短期で確保できる実習生か育成が長期にわたる留学生か

技能実習生か留学生か、どちらがいいのか。これは、介護施設ごとの状況によって変わってきます。とにかく人手が欲しいというなら、技能実習生。日本人と同じ業務を担当できる介護士が必要な場合は、留学生という選択になります。

短期確保できるが、日本語および介護知識が不足している技能実習生、有資格者で日本人と同等の仕事が可能だが、育成に時間とコストがかかる介護留学生。それぞれの特徴を知り、施設の状況と照らし合わせて、採用計画を策定するのがよいでしょう。