以前、この内容と同じような内容をご紹介しました。今や観光客を含めて、日本経済に欠くべからざる人として、留学生アルバイトの存在があります。観光客は「日本」を訪れたい、留学生は「日本で学びたい」「就労してみたい」というパワーが非常に強くなってきています。

一方、経済格差のおかげ(?)で、低賃金でも重労働でもアルバイトとして働いてくれる外国人留学生の需要はひっきりなしの状態です。そこで、今回は少しディープな話題として、偽装留学生の話をご紹介したいと思います。

偽装留学生とは?何が問題?

まず、偽装留学生のことを紹介する前に、日本にいる外国人の労働者に関する在留資格別分布をご紹介しましょう。2018年10月末現在で厚生労働省が公表した、在留資格別の労働在留外国人の人数と比率や増加率をご紹介しましょう。

該当時点での外国人就労総数は、146万となっており前年同期比で14.2%増となっています。その内、「技能実習生」が30万8千人強で在留資格別労働者の中で21.1%を占めています、さらに、留学生による資格外活動(アルバイトを行うと申請された人数)が29万8千人強で前年同期比では15%増となっています。また全体に占める割合も20.4%となっています。技能実習生と留学生の両者区分の合算では、60万6千人で41%にも達しています。
(参照:MHLW公式ページ

こうした日本国内における外国人労働者の両区分ですが、政府の目標である「留学生30万人計画」はすでに達成された状態となっています。そうした留学生は、自国内でのブローカー等に100万円~150万円の費用を支払っていると言う現状があります。これはほぼ全て借金で支払われます。

この借金は、発展途上国では非常に大きなお金になります。つまり、この借金返済で訪日後四苦八苦して働かなければならない現実があります。この費用には、日本における教育機関への学費(約80万円)や渡航費の他、ブローカーへの手数料等に当てられます。さらに、1年後には二年目の学費を工面しなくてはなりません。当然日本国政府でも、留学生ビザ発給の為にその外国人の経済的なバックボーンがしっかりしているかの証明を得るため、預金通帳や扶養者の生計状態などを書類として提出させてはいます。

しかし、これらも偽造でき、ものの一つで簡単にクリアされてしまいます。

留学生アルバイトの重複就労について

こうした偽装留学生が、少しでも日本円を稼ぎ出すために二重、三重のアルバイトを行っている実態があります。しかし、これらを積極的に摘発する仕組みはありません。また、雇用主側としても留学生本人が「ここでしか働いていません」と言えば、人手不足で困っている身としては、あえてそれ以上問いたださない、というのが常態化しています。

週28時間制限を守っていれば、企業単体では合法になるわけですから。働くために日本へ来ている偽装留学生にとって、学業は足枷のような存在でしかありません。また、過去悪質な教育機関では、在籍しているだけで在学証明を出し、実際には授業をほとんど行っていないような教育機関もありました。

今後の動き

2019年4月より、「特定技能」がスタートし、こうした偽装留学を締めつける動きが活発化しています。留学生に交付されるビザの要件がより厳しくなったり、日本語学校にも学生の習熟度に関する基準を設定し、それをクリアしなければ、受入を制限する動きが出てきたり。

やがて、増え続ける日本語学校もどこかで減少に転じ、適正化されていくと考えられます。