我国日本は、島国であり漁業資源の豊富な国として世界的にも有名な国です。

やや古くなりますが、2013年(平成25年)において水産庁で確認している半島地域や離島地域などに約6,300の漁業集落が存在しています。また、1998年(平成10年)に27万7千人の漁業就労者がいましたが、2017年(平成29年)には、15万3千人と概ね半減しているのが実態です。また、漁業分野における有効求人倍率も船員職業安定年報 によれば「漁船員」で 2.52 倍、また職業安定業務統計によれば、「水産養殖作業員」で 2.08 倍(職業安定業務統計)となっています。

さらに深刻なことは、就労者も高齢化が進み、体力が必要で、危険な作業現場を考えると、若手の人材確保急務になっています。そのため、漁業分野も特定産業に指定され、特定技能外国人を招聘できる産業分野になりました。また、水産庁が公表している受入見込数ですが、2019年の初年度には、600人から800人、向こう5年間で7千人から9千人の見込みとなっています。

漁業における人手不足数が2024年迄の5年間で2万人程度の見込みから、これでも足りない計算ですが、労働効率化及び追加的な国内人材の確保により補っていく方針を打ち出しています。

(参照:『漁業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針』

人材要件

漁業分野において特定技能の在留資格を受ける外国人は、以下に定める試験に合格した者又は漁業分野の第2号技能実習を修了した外国人になります。

①技能水準としては、
①-1 「漁業技能測定試験(漁業)」の合格者
①-2 「漁業技能測定試験(養殖業)」の合格者
②日本語能力水準としては、日本語能力判定テスト又は日本語能力試験(N4以上)合格者
③ 漁業分野の第2号技能実習を修了した者

となっています。①、②は必須ですが、③は外国人技能実習制度から移行できるというものになります。

就労内容

就労できる職種としては、上に示しました試験の要件ごとに以下のように決められています。

①-1「漁業技能測定試験(漁業)」の合格者の場合は以下の職種

漁業として、

  • 漁具の製作・補修
  • 水産動植物の探索
  • 漁具・漁労機械の操作
  • 水産動植物の採捕
  • 漁獲物の処理・保蔵
  • 安全衛生の確保等

①-2 「漁業技能測定試験(養殖業)」の合格者の場合

養殖業として、

  • 養殖資材の製作・補修・管理
  • 養殖水産動植物の育成管理
  • 養殖水産動植物の収獲(穫)・処理
  • 安全衛生の確保等

となっています。

まとめ

人材難で苦しむ漁業は日本の第一次産業としても重要なポジションにある産業。今後も、第一次産業への日本人就労者が増加する見込みが低いことから、特定技能外国人を迎え入れられるようになりました。ただ、我々の食を支える産業を外国人にゆだねるばかりで、いいはずがありません。しばらくは、外国人の手を借りながらも、抜本的な施策が待たれるところです。