ここでは、特定技能外国人の雇用に関して、種々の問題や課題、注意すべき事を網羅的にご紹介したいと思います。特定技能外国人の雇用に関しては、当然ですが日本国内における労働基準法が適応され、フルタイムでの雇用となります。原則としては直接雇用になります。つまり、特定技能所属機関(=会社:受入機関)と直接雇用契約を結ばなければなりません。
派遣の問題
しかし、直接雇用イコールその会社の業務現場でなければならないということではありません。一般的に「特定派遣」と呼ばれる制度も活用できます。派遣には「特定派遣」と「一般派遣」に区分されますが、特定派遣の場合は、会社と雇用契約を結んだいわゆる正社員が他社に派遣される形態であり、一般派遣は、単に一般派遣免許を持っている派遣会社に登録 だけをして派遣される形態を言います。ここでは、以下の条件に見合う特定派遣が可能ということになります。
- 特定技能所属機関(=会社:受入れ機関)が特定産業分野に係る業務や関連業務を行っている場合
- 分野の特性に応じて派遣形態とすることが必要不可欠である場合
- 派遣先が所定の条件を満たすことが確認された場合
と以上のように、直接雇用=自社現場就労という図式では必ずしもないということを確認しておいてください。
雇用契約の問題
特定技能外国人は、その業種において就労することを認められた在留資格者だということです。その資格者と雇用契約を結ぶことが法律で求められています。雇用契約には、従事する業務が明確に記載されている必要があります。これは、一般的な日本人の場合も同じ。しかし、特定技能外国人の場合、従事する業務として「相当期間の実務経験等を要する技能であって、特段の育成・訓練を受けることなくただちに一定程度の業務を遂行できる水準の業務」とされています。
この水準は、特定産業分野14業種それぞれに対して試験によって判断されます。また、労働時間の制約ですが、日本人労働者と同等の状況で契約しなければなりません。その他、報酬額、差別の禁止、有給休暇等は全て日本人と同程度か、もしくは良くしなければなりません。特定技能外国人特有の問題としては、雇用契約そのものには付記されませんが、その外国人の生活状況も把握しなければならないとされています。
まとめ
特定技能外国人労働者だからといって、日本人と差異を設けて雇用してはなりません。本制度は、発展途上国からの外国人労働者を安価な労働力というだけで就労させ、国際的に非難されてしまった過去の苦い経験を踏まえて誕生した背景があります。
特定技能外国人を雇用される方は、日本の基本的な課題である少子高齢化、有効求人倍率の上昇に対応していくためには欠かせない本制度を適切に活用し、法律に則った特定技能所属機関である、という認識を強く持って、外国人の方に接していかなければなりません。