ここでは、2019年4月より施行された新在留資格「特定技能」と、その他の在留就労資格を持つ外国人との違いについてまとめてみました。現在わが国では、外国人が在留し、実習・就労できるビザとしては主に以下の2つがあります。

  • 就労系在留資格者としてエンジニア(技術、人文知識、国際業務)
  • 外国人技能実習制度参加外国人

上記2つに関して以下に特定技能外国人との差異をベトナム人に特化して各種項目に分けてご紹介しましょう。

(1)対象者

エンジニアの場合、ベトナム国内の理系短大卒以上(日本の理系専門学校卒以上のレベル)、かつ専攻が職務と合致する者でなければなりません。あるいは、技術・人文知識は10年以上、国際業務は3年以上の当該実務経験を有する者として在留資格の条件になっています。

一方、外国人技能実習生の場合は、そうした規定がありません。新設された特定技能資格者に関しては、特定技能1号の場合、「一定の技能を有する者」との規定ですがレベルは高くはありません。また、特定技能資格者には技能実習生1号の修了者が対象者になります。特定技能2号については、現在「熟練した技能を有する者」としての規定があるだけです。

(2)雇用期間

いずれのカテゴリの在留資格者も雇用されなければなりませんが、その期間に関して最長期間(上限)が設けられています。具体的には、エンジニアの場合、期限の上限はなく、技能実習生の場合5年の上限があり、その後は次の特定技能資格に移行することが可能です。

特定技能資格で来日する外国人の場合には、1号の期間は5年で、その後2号への移行が認められています。

(3)職務内容

職種に関しては、エンジニアや技能実習生の場合、厳しい制限があります。

特定技能資格の場合は、対象14業種(介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造、電気・電子機器関連産業、建設、造船・船用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造、外食)の有資格者であれば、単純作業含め幅広い職種に就くことができます。

(4)転職

エンジニアの場合や特定技能資格者の場合、同じ職種内であれば転職が可能ですが、技能実習生の場合は転職できません。この転職の可否は、どのビザで人材を受け入れるかの大きな判断材料になるでしょう。

特定技能を設けることで、技能実習制度が縮小していくという予想もありますが、地方の企業は、特定技能の確保も難しく、依然として技能実習制度を活用せざるを得ないという考えもあります。

(5)賃金相場

エンジニアの場合は、日本人の大学・短大の新卒者と同じレベルの賃金相場になりますが、特定技能資格者の場合は、その人材の学歴や経験に応じ、日本人の高卒程度以上の待遇に。

一方技能実習生の場合は、最低賃金からの設定となります。

まとめ

現在わが国で認められている外国人の就労の為の資格それぞれについて比較してみました。一長一短があり、その選択は悩ましい所でしょう。外国人を招聘する難易度、長期的就労という観点から今回新設された特定技能資格者が増加すると見込まれています。