外国人技能実習制度での外国人の受け入れ対象職種に入っておらず、主に外国人留学生のアルバイトに頼っていた外食業は、今回特定技能外国人の対象産業(特定産業分野)として新たに加わった分野になります。この分野では、他業種と比べて離職率が極めて高い産業 分野として人材不足が深刻です。
一方では、増加する訪日外国人観光客等への接客方法、おもてなし対応が求められている現状にあって、人による手作り感やおもてなしの心と言ったホスピタリティが求められる職業でもあります。つまり、定められたマニュアル通りの作業ではなく、その場に応じ臨機応変に活動する判断が必要になります。
したがって、IT化やAI化して省力化するとしても自然とその限界が表れてくる産業でもあります。このため、外国人を含めた即戦力の人材を確保していくことが求められることから、今回特定技能業種として設定されました。
また、外食産業における有効求人倍率(平成29年) で見ますと「接客・給仕の職業」で7.16倍、飲食店主・店長では12.68倍と著しく高く、他産業に比べて極めて高い数字を示しています。そして、今後5年後(令和4年)までに全国で29万人程度の人手不足が生じると予測され、この事態を受けて、特定技能の外食業分野で受け入れる外国人材は、初年度、4千人から5千人、この先5年間で4万1千人から5万3千人となっています。
(参照:農林水産省食料産業局『外食・中食産業における働き方の現状と課題について』)
人材要件
今回の特定技能外国人として外食業に迎え入れられる外国人の要件を確認しましょう。
- 食品衛生に配慮した飲食物の取扱いを理解し実践できる人材
- 調理及び給仕に至る一連の流れ業務を担いことができる人材
- 食品衛生管理することができる知識がある人材
- 相当程度必要な技能、知識、経験を有する人材
以上の①~④を想定しており、技能水準では、「外食業技能測定試験」に合格すること、又は同等以上の水準を満たすことが義務付けられています。日本語能力水準では、「日本語能力判定テスト」又は「日本語能力試験(N4以上)」が定められています。
就労内容
特定技能外国人が従事できる内容は、「外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)」とされています。
該当する外食業は、「食堂、レストラン、ファストフード店、外食料理店、カフェ・喫茶店、お持ち帰り・テイクアウト専門店(店内で調理した飲食料品を手渡すもの)、宅配・配達専門店(店内で調理した飲食料品を宅配・配達するもの)、仕出し弁当、料理店などが該当します。
まとめ
人材不足が深刻な産業として外食産業がクローズアップされることになり、今さらながらその実態が明らかになりました。さらに、これらの問題の解消を特定技能外国人の活用により図り、現業の維持発展をさせていく道筋が明確になりました。