昨今、若者による自動車離れに伴い、全国的に自動車整備士も希望者が少なくなってきている現状にあります。国内従業員の整備士一人当りの平均給与は、人材難の影響もあり、5年連続で微増傾向にある統計調査 (日本自動車整備振興会連合会調べ)があります。

しかし一方では、自動車の保有台数の年次推移 もこの数年横ばい傾向が続いていますが、その推移に対して自動車整備士の高齢化 、若者離れが深刻化している産業でもあります。

そのため、有効求人倍率は、2017年(平成29年度)では、3.73倍と高倍率 を示しています。そうした業界環境の中、国の所管省である国土交通省では、国内人材の確保に関し、若者や女性の就業促進策として以下の施策を打ち出しています。

  1. 運輸支局長等による高等学校や専門学校へのリクルーティング活動
  2. 自動車整備士のPRポスター、動画製作、インターネットを活用した情報発信
  3. 自動車整備工場の経営者に対する人材確保セミナーの開催

しかし、抜本的な人材不足の解決策とはならず、特定産業に指定され、特定技能外国人を迎え入れることになりました。特定技能外国人としての自動車整備業の整備士を、2019年の初年度で300人から800人、5年間で、6千人から7千人の受け入れを発表しています。

人材要件

自動車整備業に関する特定技能外国人に関しての求められる人材像は以下の通りです。

  1. 技能水準は、「自動車整備特定技能評価試験」または「自動車整備士技能検定試験3級」に合格することが義務付けられています。
  2. 日本語能力水準では、「日本語能力判定テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」が定められています。
  3. 自動車整備分野の第2号技能実習を修了した者

上記、①②は必須で、③の第2号技能実習生制度からの移行も認められています。

就労内容

特定技能外国人として迎え入れた当初の特定技能1号で就労できる内容は以下の通りです。

  • 自動車の日常点検整備、定期点検整備、分解整備

ただし、この特定技能外国人を自動車整備士として受け入れる場合には受入工場の条件が以下のようになっています。

  • 雇用する外国人材に対する支援を適切に行うこと(全業種共通)
  • 道路運送車両法に基づく認証を受けていること
  • 国土交通省が組織する協議会に対し、必要な協力を行うこと

まとめ

人材が逼迫した産業として自動車整備業に対して特定技能外国人を迎え入れ、その人材需給関係を改善しようとしている状況をご理解いただけたでしょうか。ベトナムでは、日本と対照的に今後ますます自動車が増え、それに関わる整備士のニーズも高まってきます。

日本で学んだ技術を母国で生かす。そんな好循環が生まれれば、本制度は両国の発展に欠かせないものとなっていくでしょう。