今回特定産業に指名された飲食料品製造業は、事業所数と従業者数が製造業の中では最も数が多い業種になります。また、国内の都市と地方での従業者数比も大きな差がありません。全国にわたって雇用と生産を支えている産業であり、日本経済にとって非常に重要な産業です。

しかし、この産業でも人材不足が深刻であり2017年(平成29年)におけるこの産業の有効求人倍率 は、2019年5月に農林水産省食料産業局が発表した内容では、2.78倍と全業種平均が1.54倍であることからも非常に高い数値を示しています。さらに、「欠員率」と言う常用労働者数に占める未充足求人数の比率でも、3.0%と一般製造業で1.3%である事から比べ、この数値も高くなっています。

このような人材難の中、農林水産省では2018年(平成30年)にHACCP(ハサップ:Hazaard AnalisisとCritical Control Pointの略称)の導入を義務付け、原材料の受け入れから最終製品までの各工程ごとに微生物による汚染、金属混入等の気概要員を分析し、その防止に繋がる重要行程を継続的に監視、記録する工程管理システムが義務化されました。

このような業界環境の中、ますます人材が必要となることから、人材不足を補う手段として特定技能外国人を、2019年初年度には、5200人から6800人を迎え入れ、5年間で、2万6千人から3万4千人の受け入れを予定しています 。

人材要件

飲食料品製造業での特定技能外国人に求められる要件は以下の通りです。

  1. 技能水準としては、「飲食料品製造業技能測定試験」の合格者
  2. 日本語能力水準では、「日本語能力判定テスト」又は「日本語能力試験(N4以上)」が定められています。
  3. 飲食料品製造業分野の第2号技能実習を修了した者

上記①、②は共に必須であり、③は技能実習制度からの移行を示します。

就労内容

この産業での特定技能外国人が就労できる職種は以下のものがあります。

  • 飲食料品製造業全般:飲食料品(除く酒類)の製造・加工、安全衛生。

それに、就労する日本人が通常上記職種に伴い行う関連業務

  • 掃除清掃
  • 原料等の調達や受け入れ
  • 製品等の納品
  • 事業所の管理作業等

以上の業種に従事することも可能となっています。

飲食料品製造業分野の対象範囲
〇食料品製造業
・畜産食料品製造業
・水産食料品製造業
・野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業
・調味料製造業
・糖類製造業
・精穀・製粉業
・パン・菓子製造業
・動植物油脂製造業
・その他の食料品製造業
(でんぷん、めん類、豆腐・油揚げ、あん類、冷凍調理食品、惣菜、すし・弁当・調理パン、レトルト食品等)
〇清涼飲料製造業
〇茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)
〇製氷業
〇菓子小売業(製造小売)
〇パン小売業(製造小売)
〇豆腐・かまぼこ等加工食品小売業

まとめ

飲食料品製造業界における特定技能外国人を迎え入れる内容についてご紹介しました。私たちの日々の生活に直結する重要な産業の担い手となる外国人特定技能者。彼らの働きに感謝しなければと思うばかりです。

(参照:農林水産省食料産業局『飲食料品製造業分野における 外国人材受入れ拡大について』)