農業分野における人材難は過去より国家的課題につながっており、早くから技能実習制度や国家戦略特区等の制度を活用してその対策に努めている分野で、外国人材の受け入れに積極的な産業になります。この業種で、特定的能外国人を受け入れるに際しての特徴的なことは、派遣労働者として受け入れることができる産業だと言うことです。

これは、漁業分野と同じでこの2分野のみ認められている制度になります。国内人材の確保政策や省力化に向けた方策を各種実施しているものの人材不足は解消できていない産業でもあります。例えば、就農者の増加政策としては、以下に示す2点を重点的に推し進めてきました。

  1. 新規就農者に対する資金の交付や無利子融資による支援
  2. 女性の活躍支援や農福連携の推進等により、若者・女性・高齢者等の多様な国内人材の確保

これら政策が功を奏し、49歳以下の新規就農者が4年連続で2万人を超える などの成果を挙げることになりました。

その結果、雇用労働力もここ10年ほどで1.7倍増加しましたが、いまだ農村地域からの若者の都市部への就労、高齢化は継続しています。農林水産省発表資料によれば、農業分野における有効求人倍率(平成29年度)は1.94倍で あり、雇用就農者数は約7万人不足していると言われています。特定技能の農業分野で受け入れる外国人材は、農業で2019年当初には、3,600人から7,300人を迎え入れ、この先5年間で、18,000人から36,500人の計画を発表しています。
(参照:農林水産省『平成29年 新規就農者調査』)

人材要件

農業分野での特定技能外国人に対して求められる人材像としては、以下の3項目があり、「耕種農業」と「畜産農業」では異なります。

①-1耕種農業全般に係る農業技能測定試験の合格者
①-2畜産農業全般に係る農業技能測定試験の合格者
②日本語能力水準では、「日本語能力判定テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」
③技能実習生2号修了者

以上の①②が必須項目になります。農業の場合、技能実習生が比較的他産業より多く③のケースが多くなると考えられています。

就労内容

農業分野での特定技能外国人が就労できる内容は、

  • 耕種農業全般:栽培管理、農産物の集出荷・選別など
  • 畜産農業全般:飼養管理、畜産物の集出荷・選別など

にそれぞれ就労できます。また、派遣労働者は、冬場の天候などにより農作業ができない場合や季節による作業の繁閑が生じる場合などに適応されます。また、同地域・地区内であっても、作目によっては収穫時期や定植などの農作業の繁忙期、ピーク時が異なる場合は派遣できます。

まとめ

外国人労働者が既に重要な働き手として働いている現場であり、今後の人材難対策として特定技能外国人に期待が寄せられています。ただ、昨今はベトナム人材でも農業は敬遠する傾向に。「特定技能」が人手不足の抜本的な解決策とみなすには、まだまだこれからの経緯を見極めていかなければなりません。