日本おいては、インバウンド効果が年々その比率を増し、重要産業として各種の産業に影響を与えていることは良く知られています。外国人観光客を国内に誘致する最初の玄関としての役割を果たすのが、空港業務を含む航空分野。中国を初めとしたアジア諸国からの観光客の急増、LCC(格安航空会社)の台頭、国内開催の国際的イベントの増加などから、今後益々航空業界は活況を呈すると予測されます。
しかし、一方で、この業界の卵である航空専門学校等の教育機関での入学者数が定員割れするなど、即戦力となる人材確保が難しくなってきています。加えて、高齢化する整備士が次第に退職していくといった課題も合わせてあります。そのため、航空業分野における有効求人倍率(平成29年度) は、以下のようになっています。
- 運搬作業員 4.97倍
- 他に分類されない輸送の職業 2.17倍
- 輸送用機械器具整備・修理工(自動車を除く。) 2.00倍
上記職種の内、最も求人倍率の高いのが運搬作業員で、航空業界の代表的な職種になっています。「欠員率」も、運輸業・郵便業 3.4%と他の分野より高水準になっています。
そのため、2019年初年度には、100人、向こう5年間で、1,700人から2200人の特定技能外国人を迎え入れる計画 を発表しています。
(参照:国土交通省『航空分野における新たな外国人材の受入れについて』)
人材要件
航空業界における特定技能1号の資格を得るため、該当するが外国人に求められる人材像は以下の通りです。
技能水準としては、下記2職種があります。
①-1空港グランドハンドリング業務のための航空分野技能評価試験に合格
①-2航空機整備業務のための航空分野技能評価試験に合格
②日本語能力水準としては、日本語能力判定テスト合格または日本語能力試験(N4以上)
③航空業分野の第2号技能実習を修了した者
上記、①②は必須になり、③は外国人実習生からの移行も可能となっています。
就労内容
特定技能外国人として就労する場合に、実施できる業務は以下の通りになります。
- 空港グランドハンドリング部門:地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務など
- 航空機整備部門:機体、装備品等の整備業務など
上記業務内容が実施可能となっています。
まとめ
上記のように、航空業の分野でも特定技能外国人を迎え入れることができるようになりました。業界内では需要の高い「運搬作業員」の負担を軽減するパワースーツ(少しの力で重量物を持ち上げる力が出るスーツ)の採用など機械化による省力化やIT化などの導入を推し進め、積極的に「働きかた改革」を行っています。
しかしながら、こうした取り組みにより労働環境が改善し、日本人就労者を呼び込めるようになるには、まだまだ時間がかかるでしょう。他業種同様、特定技能外国人による働き手の確保が急務となっています。