建設業は我国の官民における各種インフラ整備や構造物の構築のためにも必要不可欠な産業です。特に2020年に開催の東京オリンピック、2025年の大阪万国博覧会と大型インフラ整備事業が目白押しです。 しかし、一方で、長らく3K(キツイ、キタナイ、キケン)職場として若者に敬遠され、人材不足が叫ばれ続けている産業 であることから、今回特定産業に指定され、特定技能外国人を受け入れることが可能になりました。
2017年(平成 29 年)度の建設分野の有効求人倍率 は 4.13 倍で非常に高い数値が出ています。また、2024年(令和5年)迄の5年間で人手不足の見込数 21 万人になる見込みになっています。そのため、特定技能外国人に関する受け入れ計画では、2019年の初年度では5千人から6千人で5年間で3万人から4万人を受け入れると公表されています。
建設業では、技能実習生として数年前から多くの人材が実習を終えて母国に帰国している人材も多いことから、技能実習2号から特定技能ビザへの変更が多数を占めるだろうと見積もられています。
特筆すべき点として、この建設業には、特定技能2号が2019年法施行段階ですでに用意されています。この特定技能2号が設けられている業種は造船業と建設業の2業種のみ。特定技能2号は、在留期限の更新に制限がなくなり、要件を満たせば永住申請も可能な在留資格となっています。
(参照:『建設分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針』)
人材要件
この建設業における特定技能外国人を迎え入れるに当っての該当外国人に求められる要件は、建設業の職種によって試験区分が別れています。
技能水準としては、以下の試験区分があり該当する外国人が就く職種別に11職種が設定されています。
- 型枠施工
- 左官
- コンクリート圧送
- トンネル推進工
- 建設機械施工
- 土工
- 屋根ふき
- 電気通信
- 鉄筋施工
- 鉄筋継手
- 内装仕上げ
日本語水準としては、日本語能力判定テスト又は日本語能力試験(N4以上)が求められています。
建設業独自の受入体制とルール
建設分野での特定技能外国人を受け入れる機関には、「特定技能外国人受入事業実施法人」と「建設技能人材機構(JAC)」があります。
前者の法人は、営利を目的としない法人で建設分野における特定技能外国人の円滑な受け入れを実施するための機関です。後者の通称JACは、一般社団法人で登録支援機関になり各民間建設会社に替わってより詳細な受け入れ業務を行う機関になっています。
建設会社が特定外国人を受け入れ場合には必ず「特定技能外国人受入事業実施法人」に登録しなければなりませんが、受け入り実務を担うJACには任意の加入になっています。しかし、JACに加入しなければ建設会社自らが詳細な受け入れ業務を行うことになります。
まとめ
建設業では、より高い技能が求められるということから、造船・舶用工業と並び、特定技能2号まで設定されています。上記でも述べましたが、この2号は、試験さえ合格すれば就労ビザ同様に就労期間の制限がなく、家族の呼び寄せも可能となる実質の「永住資格」。
これにより、建設現場の有意な働き手として外国人の熟練技能者定着を目指しています。