ここでは、ベトナム人の生活全般を知り、彼らの一般日常生活における常識を理解しておくことを目的に、その理解を深めるため以下に代表的な4つのベトナム人の生活常識をお示しします。
第一に、東南アジアの国々には共通の話ですが、生活リズムが日本に比べて早くから始まります。都市部に在住し、ビジネスマンとして働いている家庭では幾分緩和されていますが、多くの一般庶民の生活では朝が早いです。
街中の市場は早朝6時には開店し営業を行っています。この事は、昼間気温が上昇することもありますが、一般生活者でも、食料などを家庭で保存する習慣、つまり冷蔵庫に食料を蓄えておくことがまだまだ普及し切れていない現状があります。その為、その日の食料はその日に買う習慣があるようです。ただし、先程も示しましたが、都市部のホワイトカラーではほぼ解消されつつあります。
第二に、生活リズムの中でも昼寝の習慣があるということを考慮しておいてください。
スペインや南米などで習慣となっている「シエスタ」ではありませんが、やはり日中の気温上昇に対応してこういう習慣が生まれたと思います。この習慣は、オフィスでもあります。それも、日本で見るような机の上に頭を伏せて、というスタイルではなく、フルフラット・スタイル。私もベトナムで仕事をするようになって最初の頃は、昼食後にオフィスの電気を消してから、椅子を3つ並べて、横たわったり、床に段ボールやゴザを敷いて寝る姿に驚いたものです。しかも、女子社員が。
最近では、エアコンのある部屋の中やモール等での全館空調もあり、この習慣は減少傾向にあると思いますが、根強く残っていくと思われます。日本に来た彼らにこうした習慣に配慮した体制を整えてあげるのも、一つの福利厚生と言えるかもしれません。
第三に、ベトナムは学歴社会だということ。大学全入時代と言われる日本とちがって、ベトナムにおける大学進学率は最近はやや上昇傾向にあるものの、ある調査では30%弱とまだ大学で教育を受ける人が少なく、大卒と言えば、一目置かれる存在となります。
逆に大学を出ていないと、たとえ実習生として日本で技術を身に付けたとしても、工場などで管理者として採用されることはありません。「彼は大学を出ていないから、〇〇できない」といった言葉を聞くと、杓子定規に人を判断する学歴社会の弊害を感じることがあります。
ただ、たとえ大学を出たとしても、トップレベルの大学でないと、ほとんどの場合就職が困難という問題も抱えています。これは、日本のように新卒採用のシステムがなく、即戦力の経験者を求めるため。卒業後は見習い待遇で2、3社経験を積み、20代中盤から後半の年代でようやくキャリアの第一歩と言える仕事と待遇を手に入れるというコースをたどることが多いです。
ベトナムの人に短期間で仕事を変える人が多いのには、こうした背景があります。履歴書を見て選考される際には、こうした事情も考慮してご判断ください。
第四に、自尊心が強く見栄っ張りがベトナム人には多いように思います。
例えば一昨年、2016年におけるベトナムホーチミン市における最賃(最低賃金)は月額1.5万円程度で、概ね店舗等の警備をしているガードマンの平均月収が3万円程度、平均的に2万円程度の月収入で生活している人が多い状況でありながら、iPhoneを持っている人が多いのに気付きます。
国際的にiPhoneの価格は大きく変わらない事から、月収入の数倍かけて持っていることが多々見られます。よく見ると中古機であったり型番落ちであったりしますが、これで体面を整えているようです。