今回は、外国人就労者を迎えるにあたって、受け入れ側の事前準備についてご紹介します。
企業として外国人を迎え入れ、有用活用するための計画と言っても良いかもしれません。その意味では自社体制づくりが成功のカギになることは間違いありません。
目次
法的準備と社内体制づくり
外国人就労者を受け入れるにあたっては、ベトナム人に限らず国内において、多くの法令遵守が求められます。
多くの場合、弊社のような仲介者がマネジメントすることで解決できる法的問題がほとんどです。中でも最も重視されることが、「在留資格」と「在留期間」です。就労期間中に「在留資格」が維持できているか、「在留期限」を超えていないか等の確認が初歩的なマネジメントになります。
一方これらのマネジメントは書類上で管理できることから仲介者が一括してコンプライアンス維持のため取り扱っている事がありますので、企業側としては安心して就労させることが可能になります。
もう一つ企業側として行うことは、「社内体制づくり」です。一朝一夕に外国人を受け入れる体制が出来るわけではありません。当然多くの受入企業側では、「何をしてもらう」のかは明確ですが、働く外国人をどのように処遇するのかが不明確な場合があります。日本人のように扱って、双方がストレスを抱えるという問題は絶えません。
そこで、次に具体的な社内体制作りをご紹介します。
社内体制づくりの「5つのやっておくこと、やるべきこと」
(1)“やさしい日本語”で話しかけること
外国人採用で最も大きなハードルとなるのが言葉。日本語力です。実習生にしろ、エンジニアにしろ、彼らの多くが日常生活が送れるほどの初歩的な日本語を身に付けただけの段階で日本にやってきます。そのため、日本語が通じないと感じるかもしれません。
実際、ベトナムで日本語の教科書を詰め込んできただけで、会話練習はほとんどできていないのです。そのため、たとえ習った文法であっても、日本人のネイティブの発音に最初は苦労します。ましてや初めての職場。緊張もしていますし、その人の話し方にも慣れていません。
ただ、そこでさじを投げてしまうのではなく、話し方を変えてほしいのです。標準語で、一語一語聞こえるようにゆっくりと。そうすることで、とても聞きやすくなります。日本人と話すような感覚で方言やクセのある話し方、略語や難しい単語を避けるように心がけることで、コミュニケーションがスムーズに取れるようになるでしょう。
(2)就業規則(ルール)や業務手順の母国語マニュアル
日本人向けのものと異なる内容になるケースも多く、人材紹介会社等と相談しながら自社に合うマニュアルを外国人就労者の母国語で作っておくことが大切です。イラストを多数使用することで理解が進みます。
(3)外国人就労者が日本で生活する為の情報提供
受け入れ企業側としては、住居の説明、各公的機関の援助体制の説明、日本における社会保障制度、税制などについて説明する必要があります。しかし、この部分も先程法的準備で申し上げたコンサルタント等が事前のオリエンテーションとして行っている場合があるので確認しておいた方が良いでしょう。
(4)定期的な声かけ
就労時間外ではあまりお勧めできませんが、就労時間内で定期的に十数分でも良いので全員平等に面談することも大切です。別室に呼んでの面談となると、相手も緊張してしまうので、気軽に話しかけてみて、コミュニケーションを図るのがいいでしょう。
この声掛けを管理職に任せっきりにするのは良くありません。最高職にある方が、現場に出向き、労い、直接話すことが重要なキーになってきます。日本人の社長ともなると、我々日本人が思う以上に、“恐れ多い人”という印象を抱いているので、時々声をかけてもらうと、目をかけてもらっていると感じ、より意欲的に仕事に取り組むようになるでしょう。
ベトナムでは、お酒を酌み交わすことで親睦を図る文化があるので、飲み会を企画するのもいいかもしれません。その際に、社長や工場長はとことん彼らに付き合う覚悟で臨むのがいいでしょう。(二十歳未満の実習生や女性は別です。)
(5)職場雰囲気の醸成
従業員へ理解を求め、彼らに快く迎え入れられる雰囲気を作っておいてもらうことが大切です。採用を担当される社長や担当者は、ベトナムについての理解を深め、ベトナム人の性格やその対処方法などの知識を得ているかもしれませんが、現場の人はそうではありません。
トップの思いや熱量に、現場がついていってない、なんてことがないよう、採用活動の中で知り得た情報や感じたことなどをシェアしてください。ベトナムの方は、こちらが恐縮するくらい我々日本人のことを礼儀正しく、親切と考えてくれています。そのイメージを裏切らないような職場づくりをこころがけていただきたいですね。